「○○だから、できない」を、
なくしたい。
市村均弥(いちむら きんや)/株式会社ワンライフ 代表取締役
はじめまして。市村均弥(いちむら きんや)といいます。2014年に群馬で会社を立ち上げ、障がい福祉の仕事を10年以上続けてきました。いまは直営23店舗を運営しています。
「障がいのカタチを変える」を掲げて、障がいのある方の選択肢を増やすことを仕事にしています。
なぜこの仕事をしているのか。いま何をやっていて、これから何をしたいのか。このページに書きました。
2026.07.31
自分のこと
僕は高校を中退しています。
工場、飛び込み営業、建設現場。高校を出ていない10代の自分にできる仕事を、片っ端からやりました。飛び込み営業では、トップの成績を取ったこともあります。
結果を出せば道は開ける。そう思っていました。でも、次の仕事を探すたびに、応募できる求人は限られていく。学歴という一点で、選べる道が減っていく。
どれだけ結果を出しても、履歴書の一行で判断されてしまう。あのときの悔しさは、いまでも覚えています。
その後、大検を取って東京の大学に進学。群馬に戻ってウレタン加工会社の経営に携わり、24歳で起業します。
自分には、学び直して進学するという道がありました。動いた分だけ、選べる幅は広がりました。でも、誰もがそうできるわけではありません。狭まった道の前で、立ち止まるしかない人がいる。それは自分がよく知っています。
障がいのある方や高齢者、女性、子ども。立場が弱いとされる人の力になりたいという気持ちは、昔からありました。
ただ、そのために自分が何をすればいいのかは、まだ分かっていませんでした。
きっかけ
いくつかの事業をやるなかで、偶然、障がい福祉に出会いました。そして2014年、群馬県前橋市でワンライフという会社をつくります。その頃は、自分がこの世界に10年以上も身を置くことになるとは思ってもいませんでした。
とはいえ、会社をつくった時点では、現場のことをほとんど知りませんでした。まずは知ることから始めようと、あちこちの事業所を見せてもらうことにしました。
そのひとつが、就労継続支援事業所です。一般の企業で働くことがむずかしい方が、支援を受けながら働く場所です。一般就職を目指してスキルを身につける人もいれば、自分のペースで通いながら、ここを居場所にしている人もいます。全国に2万ヶ所以上あり、いま僕たちが取り組んでいるのもこの事業所です。
はじめて見学に行った日のことは、いまでも覚えています。工場の奥にある、決していい環境とは言えない場所で、多くの利用者さんが毎日、同じ単純作業を繰り返していました。
この人たちは、この作業がやりたくてここに来たんだろうか。たぶん違う。ほかに行ける場所がなかっただけなんじゃないか。そう思えてなりませんでした。
訪ねる先が増えるほど、障がいのある方が直面している課題に、次々と気づかされました。10年前は、内職や工場での軽作業、清掃。就労支援といえば、ほとんどその選択肢しかありませんでした。どんな仕事が向いているかを考える前に、選べるものがそれしかない。働く選択肢があまりにも少ない。
「障がいがあるから仕方ない」。そのひと言でとどまってしまうには、一人ひとりの可能性は大きすぎる。これは誰かが取り組まなければいけない課題だと感じました。
自分にできることは何だろう。ずっと考えて、辿り着いたのが「選択肢を増やす」ことでした。
大事にしていること
選択肢を増やす。そう決めて、会社の看板に掲げた言葉があります。
「障がいのカタチを変える」。「"○○だから、できない"という偏見をなくす」という意味を込めています。
「障がいがあるから、これはできない」「ここまでにしておこう」。そうやって、どこかで線が引かれてしまう。
その線を引いているのは本人ではなく、いまの社会の側だと思います。
やっていること
では、どうやって線を消していくか。答えは単純でした。働く場所が少ないなら、自分たちでつくればいい。
そう考えて、「やってみたい」と思える入り口を、ひとつずつ増やしてきました。
やり方はいつも同じです。「障がい × ○○」。福祉の中だけで完結させず、世の中にある仕事と掛け合わせる。そうすれば、働ける選択肢はいくらでも広がります。
障がい × eスポーツ・動画編集好きなことが、通うきっかけになる。できることが増えれば自信がつく。そこからIT人材として、一般就労を目指します。
障がい × 保護犬・保護猫お世話やトリミング、トレーニングを仕事に。動物が好きで通いはじめた人が、トリマーやドッグトレーナーの資格取得を目指します。
障がい × 農業、映像、プログラミング、飲食…畑もあれば、お寿司屋さんもあります。掛け合わせる仕事は、多いほどいい。
こうしてひとつずつ増やしてきた入り口は、いま12のブランドになりました。
就労支援から児童発達支援、グループホーム、相談支援まで
言葉だけでは伝わりにくいので、動画も置いておきます。社外取締役の乙武洋匡さんと現場をまわったときのものです。
僕たちは当たり前のように、たくさんの選択肢の中から自分の道を選んでいます。それが当たり前すぎて、選べること自体のありがたさに、普段は気づきません。でも障がいのある方には、その当たり前がありません。
障がいがあっても、選択肢が多いことが当たり前になる。そこまで持っていくために、選択肢を増やし続けています。
大人の働く場所から始まった活動は、いま、子どもたちにも広がっています。児童発達支援事業所といって、発達が気になる未就学の子が通い、遊びや生活のなかで成長を支えていく場所です。小学生になってからは、放課後や休みの日に通える放課後等デイサービスがあります。未就学から高校生まで、育っていく時期をまるごと支えます。
発達に遅れのある子が、みんなと同じ経験をしないまま小学校に上がり、不安になる。親御さんは、わが子の運動会を一度も見ないまま、子育ての時期が過ぎていく。その現実を変えたくて、子どもの施設は外装も内装もデザインにこだわりました。普通の園と同じように、卒業式があって、運動会があって、園歌もあります。
それから、「凸凹村」というWEBコミュニティもやっています。障がいのある方が集まり、自分たちの課題を自分たちで解決していく場所です。村民は3,000名を超えました。村長は、社外取締役の乙武洋匡さんです。
支援する側とされる側ではなく、対等な関係に変えていきたいと考えています。
凸凹村チャンネル。村長の乙武さんが、障がいのある当事者の方々と対談しています
考えていること
ここまで読んでいただいて、ずいぶん手を広げていると思われたかもしれません。ただ、選択肢を増やすと決めた以上、事業が増えていくのは必然でした。ひとつの事業では、ひとつの入り口しかつくれないからです。
そのうえで、広げ方には決めごとがあります。10年間、変わらずに守ってきたことが2つ。
ひとつは、複数の課題を同時に解くこと。社会の課題はどれも根が深く、動くまでに時間がかかります。ひとつ解決してから次へ、と順番に進んでいては、いつまでも追いつきません。
たとえば保護犬・保護猫の事業は、障がいのある方の働く場所の少なさと、殺処分という2つの問題を、別々に扱いません。保護した犬や猫のお世話、トリミング、トレーニング。それをそのまま仕事にしています。働く場所が生まれ、同時に、一匹でも多くの命が助かる。どちらかのついでではなく、どちらも本気で成立させています。
もうひとつは、つぶれない経営をすること。福祉の世界には、利益を追いかけることをよしとしない空気があります。その気持ちも分かります。
それでも、理念だけでは人は守れません。事業が止まれば、通ってくれる人も、関わってくれる人も、一緒に働く仲間も、居場所を失ってしまう。
設備にも、人にも、研修にもお金がかかります。利益が出ていなければ、支援の質は上げられないし、新しい選択肢もつくれません。だから「つぶれない経営」にこだわっています。
順番はいつも決まっています。課題の解決が先で、経営はそのための手段です。
これから
ここまで書いてきましたが、課題はまだまだ山積みです。働く場所も、やれることも、増やしきれていません。
急いで広げてきた分、うまくいかないことも起きます。仕組みが追いつかない。目が届かない。そこから目をそらさず、仲間やパートナーと一緒に、ひとつずつ直していきます。
その先に考えているのが、「障がい×起業」という挑戦です。障がいのある方自身が、事業を生み出す側に回る。
障がいのある経営者が、当たり前にいる。そこまで行きたいと思っています。
一緒にやってくれる方へ
僕がいちばん急いでいるのは、一人でも多くの障がいのある方に、少しでも早く、より良いサービスを届けることです。
日本では、障がいのある方の数は年々増え続けています。いまや国民のおよそ9.2%、11人に1人。けっして遠い誰かの話ではありません。必要とされるサービスは、これからさらに増えていく。それに応えられる体制を、急いでつくらなければなりません。
「少しでも早く」の部分に、フランチャイズという形をとっている理由があります。自社だけで全国に拠点をつくっていては、届くまでに何年もかかります。その間にも、行き場所が見つからないまま時間だけが過ぎていく人がいる。僕たちだけでは、届けきれないんです。
直営23店舗・10年以上の運営で学んできたノウハウを、失敗から得たものも含めて、すべてお伝えします。ありがたいことに、想いを共にしてくださる経営者の方々に恵まれ、店舗は100を超えました。
実際に運営されているフランチャイズオーナーのインタビューです
事業として成り立つことは前提です。そのうえで、利用者さんに真剣に向き合ってくださる方と、長くお付き合いしたい。その気持ちがあってはじめて、支援の質は保たれます。
「障がいのカタチを変える」を一緒に実現してくださるパートナーを、募集しています。
共感してくださった方は、ぜひお気軽にご連絡ください。お待ちしています。
お問い合わせはこちら →
おわりに
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。市村均弥(いちむら きんや)と申します。仕事の詳しいことは株式会社ワンライフのサイトに、日々考えていることはnoteに書いています。よかったら覗いてみてください。